福岡伸一さんは今もっとも好きな作家の一人です。
福岡さんの正式な肩書きは生物学者(青山学院大学教授)なので、作家と言ってよいのかわかりませんが、とにかく文章がとても上手で引き込まれます。
お恥ずかしい話、フェルメールには特に興味を持っていませんでした。
テレビ番組「美の巨人」のオープニングに出てくる絵の人、という程度の知識しかありませんでした。(笑)
リシャール・コラスさんの短編集にあるフェルメールに関する小説が面白く、『FBI捜査官』にもフェルメールの作品が盗まれた話がありとても印象的でした。
1月に東京に出張したときに偶然Bunkamuraでフェルメール展をみることができさらに興味が湧いた上で読んだ本が、『フェルメール 光の王国』。

フェルメールの絵画を追いながら、オランダ、アメリカ、フランス、、英国、ドイツ、オーストリアを旅していくこの本は、贅沢な紀行文でもあります。
写真もとてもきれいなため、寝る前に読んでいると良い夢が見られる感じがします。(笑)
顕微鏡の父と呼ばれ微生物の発見者であるレーウェンフックとフェルメールの関係性について。
アメリカにいた野口英世がフェルメールの絵画を観た可能性について。
フランスの天才数学者エヴァリスト・ガロアとフェルメールの共通点について。
ポール・マッカートニーが気に入ったフェルメールのギターを弾く女について。
などなど。
フェルメールまたはその作品を独自の視点から化学反応を起こさせる福岡さんは、まさにストーリーテラーです。
絵画は一瞬を切り取ったものですが、フェルメールは、時間を抑え込むのではなく絵画の中に時間の流れを作り出しているからこそ、観るものの想像をかき立てるのでしょうね。
とても贅沢な1冊でした。

